[宇陀市立病院]元職員が逮捕、会社社長から現金をもらった贈収賄事件

宇陀市立病院
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2022年2月15日、宇陀市元職員が、空調設備会社の社長から賄賂(わいろ)を受け取った疑いで逮捕された。

収賄(しゅうわい)の疑いで逮捕されたのは、宇陀市元職員の龍田宗晃容疑者(53)=京都府南山城村=。
贈賄(ぞうわい)の疑いで逮捕されたのは、空調設備機器販売・メンテナンス会社「エアアシスト」社長、高井哲也容疑者(50)=堺市堺区=。

龍田容疑者は、2021年8月に宇陀市職員を退職(一身上の都合で退職)するまで、宇陀市立病院事務局情報システム管理課で、入札・業者選定などを担当していた。
龍田容疑者は、1997年(平成9年)3月に宇陀市立病院に採用された。2006年から、入札に関する業務を担当していた。

龍田容疑者は、2021年3月、新型コロナウイルスの飛散(ひさん)を防ぐためにコロナ患者用の病室に設置する「簡易陰圧装置(4台)」の指名競争入札(落札金額749万1,000円・税込み)で、落札した会社に、下請けとして「エアアシスト」にも仕事をさせるようはたらきかけ、見返りとして、高井哲也容疑者から、2021年6月に現金約53万円を受け取った疑い。

「エアアシスト」は、簡易陰圧装置の設置のときに、下請けとして、病室の窓枠に取り付けるアルミパネルの設置をおこなっていた。

宇陀市立病院事務局長は記者会見で、
「下請けとして「エアアシスト」が工事に加わっていたことは知らなかった。入札の規定によると、工事に下請け会社が加わるときは、事前に届け出が必要だが、届け出はなかった」
「工事には他の職員が立ち会っていたが、下請け会社が来ていたことに気づくことはできなかった」
「これまでに、エアアシストが入札に参加したり、工事を請け負ったことはなく、知らない会社です」

などと述べた。

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簡易陰圧装置(イメージ写真)

龍田容疑者は、自分名義の銀行口座に振り込ませる手口で、2021年6月に現金を受け取ったとみられ、警察の調べに対し「賄賂を受け取ったことに間違いありません。病院の仕事と給料が見合わないことへの不満やお金欲しさでやりました」と事件の容疑を認めているという。高井容疑者も、「龍田容疑者から賄賂を要求されました」と事件の容疑を認めているという。

同日(2022年2月15日)の夜、奈良県警(刑事部捜査第二課)は、宇陀市立病院事務局を捜索し、関係資料などを押収した。

※収賄罪(しゅうわいざい)・・・公務員または仲裁人が、その担当する職務に関連して賄賂(わいろ)を収受・要求・約束したり、またその結果として不正行為をしたときに成立する犯罪。

※指名競争入札(しめいきょうそうにゅうさつ)・・・競争入札の手法の一つ。希望者すべてを入札に参加させる一般競争入札と異なり、特定の条件により発注者側が指名した者同士で競争に付して契約者を決める方式。

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