[市議会]これからの美榛苑について話し合われていたか?

宇陀市役所
宇陀市役所

住民投票(2018.12.16)の後に開催された、宇陀市議会平成30年第4回定例会(2018年12月18日~2019年1月18日)では、美榛苑について、どのような一般質問がおこなわれていたのか?

住民投票の直後であったためか、具体的なことは決まらなかった。

美榛苑関連については以下のとおり(要旨)

松浦議員「美榛苑の継続、ひのき坂西の公園をつくる事業は、議会として承認せざるを得なくなったが、市のチェック機能である議会は、山積するさまざまな課題をしっかりと協議していく。」
「反対派市民団体のチラシがいろいろ配布されていたが、市長の考えと同じか?」
高見市長「誘致断念すべきという考えは同じですが、それぞれの方がそれぞれの立場で発信していたものです。指示をして作成させたものではありません。」

松浦議員「誘致断念は、固定資産税の減少につながるが、税収を上げるための対策はあるのか?」
高見市長「企業誘致そのものを否定していません。今回の誘致事業は、財政状況を考えると負担が大きすぎました。税収減少は、人口減少によるものですので、人口減少の抑制につながる市政運営に取り組んでいきます。」
「増収については、まず減収していますから、減収対策が先だと思っています。住み続けられるまちにすること、それは、医療、介護、公共交通です。」
「増収よりも、人口減少による財政悪化を考えなければなりません。」
「住みやすい街をつくるということに尽きると思います。」

井谷議員「ひのき坂西の公園整備は?」
建設部長「2018年12月26日、休暇村協会に事業中止の協議書をわたしました。昨日、回答があったところです。市長に休暇村協会へ出向いていただく必要があります。2018年12月27日、市長は知事・まちづくり推進局長にあいさつに行きました。公園整備計画については、なにも決まっておりません。」
井谷議員「公園整備は、起債(借金)するのか?」
高見市長「市有地を整備し、なにか大きな建物を建てるのではなく、大きな財政負担をともなわないようにしたいと思います。」

井谷議員「指定管理者の応募がなかった場合どうするのか?」
農林商工部長「指定管理者の応募に向けて鋭意努力してまいります。」

井谷議員「大規模改修はいつするのか?」
農林商工部長「2019年4月以降、3年間(~2022年3月)は大規模改修はおこないません。これから専門家検討委員会で検討していきます。」

井谷議員「大規模改修費用10億円の内訳は?」
農林商工部長「平成27年11月資料によりますと、施設改修・空調・屋根など1億2,155万円、一階耐震・厨房・浴室など5億9,818万円、二階耐震・宴会場など9,339万円、三階耐震・宿泊棟・本館など1億0,340万円となっております。これらは概算ですので、今後、正確な見積りが必要です。」

井谷議員「美榛苑改修の財源はどうするのか?」
農林商工部長「今後検討していきます。」

多田議員「美榛苑の裏山は、岩がゴロゴロしているそうだが大丈夫か?」
農林商工部長「イエローゾーンに指定されていますが、すぐの対策は必要とされていません。裏山にはたしかに岩がありますが、危険と思われる状況ではありません。」

宮下議員「宇陀市立病院と連動し温泉を活かした宿泊可能な総合リハビリトレーニング療養センターをつくっていくという公約はどうなった?」
高見市長「温泉を活かして療養施設があったらいいなぁと思っておりました。まずは美榛苑の存続で、これから検討していくことです。」

宮下議員「美榛苑を民間に譲渡することはできるのか?」
建設部長「美榛苑は、市街化調整区域内にある福祉施設とされています。用途変更は、奈良県とハードルの高い協議が必要になります。」

その他、おもな点は以下のとおり(要旨)

西岡議員「人口増・財源増について、市長アイデアはあるか?」
高見市長「増やすことよりも維持することが重要です。人口減少・財源減少がおこっている今、まず維持できるようにならないと、増加につながりません。維持とは、住み続けていただくこと、まず医療です。」

西岡議員「経常収支比率99.3%をどう改善していくのか?何年後に何%という目標はあるか?」
高見市長「毎日毎日の地道な取り組みと、人口減少の影響が大きいので、住み続けていただける宇陀市にすることで改善していきます。」
西岡議員「何年後に何%という目標はないということですね。」

八木議員「宇陀市の観光客数は?」
農林商工部長「宇陀市の観光客数は、平成29年度(2017年度)140万1,000人でした。うだアニマルパーク25万6,000人、室生寺15万人、あきののゆ14万人、道の駅大宇陀11万6,000人となっております。宿泊数は年間25,000人(美榛苑2万人)となっております。」

多田議員「国民健康保険、介護保険料は、下げられるものなのか?」
健康福祉部長「介護保険料は、介護保険運営協議会で決められています。」
市民環境部長「国民保険料は、国民健康保険運営協議会で決められています。加入者の減少、医療費の増加で、いずれ値上げになります。」
高見市長「予測・計画が甘いから財源不足になってきているのではと感じてきました。健康寿命の増進、ウェルネス事業、できることは進めていきます。」

多田議員「宇陀市の財政状況は?」
企画財政部長「平成18年の経常収支比率107%が最も悪く、夕張市(119.9%)に次ぐ財政悪化でした。宇陀市は「第二の夕張市」として経済誌「週刊ダイヤモンド」の特集記事に掲載されていたことがありました。現在、財政は改善されてきております。」
多田議員「今後の課題は?」
企画財政部長「税収減少の対策、財源の確保、身の丈に合わせた財政運営が必要だと思っています。」
高見市長「人口減少の対策、民間誘致などが必要だと考えています。調査研究をおこなっていきます。」

多田議員「お試し居住の市営住宅とは?」
建設部長「市営住宅は低所得者向けのものであり、定住者向け市営住宅ならば、市独自の予算で建設する必要があります。」
高見市長「空いている市営住宅を建て替えて、定住を進めていきたいと思っています。」
多田議員「定住者向けの市営住宅を建設したらいくらかかる?」
建設部長「普通の一戸建てだと3000万円くらいですが、低層にするのか高層にするのかで変わってきますので、検討していきます。」
多田議員「市長は、企業誘致のトップセールスをするのか?自分で動く気は?」
高見市長「市長として、いろんな方に会っていますので、営業活動はしませんが、情報提供はしていきます。」

廣澤議員「厳しい財政状況のなかで、市長は「選択と集中」のスローガンを掲げているが、どの予算を減らしていくのか?」
高見市長「ひとつひとつ精査しているところです。宇陀市の強みを見つけて、そこを伸ばしたいと考えています。」

今回の議会を見る限り、宇陀市は発展に向かって「突き進んでいる」ようには感じられなかった。
「検討」「精査」が多用されているような気がした。
高見市政は、足踏みしているといった印象を受けた。

一方で、議員の質問は、「成長のために支出」「将来のために支出」「経常収支比率にこだわらずに支出」「起債(借金)・補助金を使った支出」など、積極的にお金を使うべきだと主張している議員が多かったように思った。
議員の言うとおりにすべて支出していたら、宇陀市はいくらお金があっても足りないのではないかと個人的に不安を感じた。
(経済部 松本伸一)