[行政]市長のあいまい答弁、でも議員たち賛成しちゃうナゾ

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宇陀市議会(2022年6月8日)

2022年6月8日、令和4年第2回宇陀市議会定例会(令和4年6月議会)の第2日目がおこなわれた。

金剛市長は、議会第1日目(2022年6月6日)に市議会へ提出していた議案「議案第42号 宇陀市の公の施設の指定管理者の指定について」を撤回したいと表明した。

5人の議員たちが、市長に撤回理由を質問したが、市長は理由を明らかにしなかった。

しかし、多数決により、賛成10人・反対3人(八木議員・勝井議員・廣澤議員)で、市長の提出撤回は認められた。
市長も、市議会も、何をしているのか、市民にはさっぱり分からない。


金剛市長「今定例会、初日で、議案第42号、宇陀市の公の施設の指定管理者の指定につきまして、上程をさせていただきましたが、当該議案に対しまして、再考する事案が生じたため、議員のみなさまには大変ご迷惑をおかけいたしますが、議案の撤回をさせていただきたくお願い申し上げます。以上でございます」

西岡議員「市長のほうから、再考する事案ということですけれども、再考とは何を再考するんですか。理由を答弁願います」

金剛市長「指定管理者の指定の内容につきまして、再考するということでございます。ご理解をお願いしたいと思います」

西岡議員「それは、どこに不備があったんですか。それともう一点、第1日目に上程されているんですから、それまでになぜ分からなかったんですか」

金剛市長「上程をさせていただきましたにもかかわらずにですね、その議案の内容につきまして、最終的に私のほうで再考いたしたいということでございます。なぜ上程するまでに分からなかったのかということでございますけれども、まぁ、あの、ぎりぎりまでですね、再考するということにつきまして検討しておりまして、大変申し訳ないですけれども、本日にいたったということでございます。以上でございます」

多田議員「(2日前の)6日、上程がございました。そして、(6月8日、市議会の)2日目ですね、1日あいているという状況のなかで、唐突(とうとつ)な感じを受けたわけでございます。非常におどろいております。せっかく(選定委員会で)決まったのに、なぜなのかという思いです。
指定管理者そのものは、変わらないということで受け止めていいんでしょうか」

金剛市長「今回、議案第42号として上程いたしました議案につきまして、再考するため、撤回いたしたいということでございます」

多田議員「きわめてあいまいな答弁だと思うんですけれども、6日に上程された、サカタ印刷と明記、うたってあるんですけれども、指定管理をあらためて募集するということになるんですか」

金剛市長「議案に対しましてですね、もう一度、考えたいということでございます。再考いたしたいということでございます」

多田議員「それ以上、お聞きしても、いろんな、再考の意味というのは、それ以上聞かないですけれども、それでは撤回された議案というのは、いつ、日程もですね、交流施設じゆうだカフェと銘打って、大々的に来春オープンすると、来年度オープンするということをもって、非常に駅前のために、振興のために、期待をもっておったわけなんですけれども、じゃあ、撤回された議案というのは再考後、いつごろ再上程されるのか、あらたな上程になるのかどうか分かりませんけれども、そこらあたりをおたずねしたいと思います」

金剛市長「駅前の交流施設ということで、榛原駅前の活性化、ひいては宇陀全体の活性化ということで、大変重要な施設でございます。今回、私としても、この施設については、地域活性化のためにですね、はやく開設をしたいという思いはまったく変わっておりません。今後の予定につきましては、今回、撤回が認められましたらですね、あらためて検討して、また議会におはかりをしたいということでございます。以上でございます」

八木議員「5月に選定委員会を2回開いて、今回、選定委員会の結果として提案されているんですけれども、選定委員会の結果をふみにじる、言い方は悪いですけれども、そういうことになるんですか」

金剛市長「ふみにじるというようなご発言がありましたが、選定委員会に対しましては、そういう気持ちもございませんし、そうしたことをしているとは思っておりません。あくまでも、選定結果を選定委員会のほうから報告をいただいて、私のほうで最終的に判断をするということでございます」

八木議員「ということは、選定委員会の結果をくつがえすとか、そういうことではないというふうに理解していいわけですか」

金剛市長「くつがえす、どうのこうのではなくて、選定委員会の結果をもとにですね、私のほうで判断をすると、そういうことでございます」

勝井議員「指定管理者制度について、あらためておたずねしたいと思うんですけども、指定管理者制度というのは透明性が求められておりまして、基本的には選定委員会を経て、第三者、市長とは離れたところで決定して、その決定にもとづいて、基本的には指定をするというのが、すじみちになっています。たしかに、統括代表権は市長にありますから、選定委員会とちがう結論を出すということはもちろん可能ではあるけども、これはただ、宇陀市でもめごとになった事例がありますよね。美榛苑の指定管理がまさにそうでしたし。選定委員会の結果は、どこも選ばないということでしたが、当時の市長が判断をされたのは、みずから専決処分をして、その判断をくつがえして指定をするということでした。市政の混乱をまねいた大変大きなことですので、この件についても、かなり心配をしております。とくに、たった2日前に上程されたものを、ぎりぎりまで考えていたという言い訳は通用しないと思うんですよね。議会に対して、こうすると出されていて、細かい説明も総務産業常任委員会で予定されております。資料は私たちの手もとには届いていて、コンペになって、決められたルールを全部守っているところが、再考したいというかたちで止められるというのは、市としてどうかなと思うんですよね。指定管理に内定されている方々がおられて、おそらくその方々は準備をすすめられていると思います。もしその方々から損害賠償とか訴えられた場合、それは甘んじて受けるしかないと思うんです。
あらためておたずねします。まず、指定管理者というのは、(市長に)統括代表権があるとは言え、基本的には選定委員会の答申をかぎりなくそのまま受けて、議会に対して提案するというのがすじみちですけども、それを曲げてまでやらないといけない理由は何だったのかということと、
たった2日前、ぎりぎりまで考えていたのであったら、そもそも(市議会に)出すべきではない議案です。選定委員会にかけるべき議案でもない。選定委員会にかけるということは、公(おおやけ)に分かるかたちで、どこが選ばれたのかを明らかにして、議会に対して承認を求めるということです。そこから考えると、市長がされていることは、大きく逸脱(いつだつ)していると思います。この2点について、どのようにお考えでしょうか」

金剛市長「いったん上程したものにつきまして、撤回するということにつきましては、私として大変責任を感じているところでございます。選定委員会の結果を曲げてまでするのかということにつきましては、私としては、選定委員会の結果をふまえてですね、自分として最終的に決定するにあたり、もう一度考えたい、再考したいということでございます。
ぎりぎりまで、それでは出すべきではないのではないかというご質問でございます。そのことにつきましては、議会のみなさんに大変ご迷惑をおかけしたということについては、おわび申し上げたいと思います。以上でございます」

勝井議員「市長は県庁の出身ですし、土木の専門というところですので、公共での契約やコンペについて深い造詣(ぞうけい)をお持ちだと思うんですね。そんな方が、本当にこれでいいのかなと、とても不安に思います。とくに気になるのが、再考したいとおっしゃっていますが、なにが問題なのか、お述べいただいていないと思うんですよね。まず仕様というものを作って、今回、建物を造ると運営の両方ですけども、すべて決めた上でやりますし、今回、サウンディング調査というものもされていたはずで、すべて仕様というものが固められているはずです。その仕様がすべて固められて、運営する指定管理者の公募をかけていますから、そこまでの段階で、市長がいま述べられていることはクリアしてないといけないはずなんですね。誰がやるかということについては、行政は選びようがないです。入札や審査をするわけですから、そこについては透明性を高めるために、手心を加えるということは断じて許されないことですし、公務員を長くされている市長は十分に理解しているはずですし、そういうわけではないと思うんですが、ただやっぱり疑問に感じるんです。2社のコンペによって選ばれたというふうになっているので、透明性としては大変明瞭なはずだし、どういうことが足りないということであれば、それは行政の落ち度によって指定管理者の選定が間違ったんだから、そこはごめんなさいで済む話ではないはずなんですね。仕様が間違っていたんであれば、仕様が間違っていたと説明していただかないと困りますし、運営するところに不安があるということでしたら、それを説明いただきたいですし、ただただ分からない、再考したい、撤回させてください、だけでは同意するのが大変むずかしいなぁと思っています。行政プロセスや意思決定のプロセスを考えると、今回の行為は大きく逸脱(いつだつ)していると言わざるを得ないので、なぜ再考する必要があるのか、(市議会の)議決の手前で止めるということは、どこに問題があったのかについて明らかにしていただきたいと思います」

金剛市長「手続きはオープンにして進めてまいりました。その上でですね、私のほうでいったん撤回をして再考したいということでございます。以上でございます」

勝井議員「どこに問題があったのかということをおたずねしております。カフェについて、どういうものをつくろうと決められたはずです。そのことと、どこが運営するかは切り離して考えないといけないですね。指定管理者制度というのは透明性をもってやっていくもの、大きなものにつきましては公開のコンペでやるものになっています。ですので、問題があるというのは、どこに問題があったのか分からないわけです。仕様に問題があったのか、選定委員会のプロセスに問題があったのか、業者について問題があるのか、すべてにおいて問題があるのか、どこに対して再考する必要があると感じられておられるのか、あらためてお願いいたします」

金剛市長「ぎりぎりまでいろいろ検討したというところは、まさにその、この議案を上程したことについてですね、結論としましてはもう一度、再考いたしたいということでご理解をいただきたいと思います」

勝井議員「すべてをオープンにしてやっている、おっしゃるとおりです。すごく気になるのが、6月6日までは、全部オープンだったんですよ。6月6日の議会初日の終了後から、7日と8日朝までは、まったくブラックボックスなわけです。市長がお述べになっていることというのは、それまでのプロセスについて説明されておられませんし、どこに課題があったのか明言されておられないところなので大変困ります。
もし撤回をして、あらためて提案をしたいというのでしたら、このあいだ、どういう判断をしたのか、選定委員会の決定をくつがえすであったり、そういうことがなければ再考ということはあり得ないわけですから、なぜそういう判断をしたのか、どういうところに課題を感じたのか、説明する責任があると思います。説明する責任ないまま、議案としてあらたにあげられてきたら、申し訳ないですが賛成することは大変むずかしいと思います。撤回をしたとしても、なぜだったのか明らかにしていただきたいです。市長は、再考したいとしか説明していませんから、議会・市民に対して説明しているとはとうてい言えないと思っていますので、どういうふうな背景があったのかについて、議会についてていねいな説明をお願いしたいですし、議案としてある程度あがっている以上、まず説明をしていただきたい。高見市長がその当時ですね、アスクゲートを指定管理を専決したときも、たしか何か文書のようなものを出されていました。今回についても透明性をちゃんと担保して説明することはやっていただきたいと思いますし、それがない状態で議会に対して出してくることは許されないと考えております。あらためておたずねしますが、透明性を高める取り組みはどういうことができるのかということと、しっかりとした説明を求めたいと思いますが、しっかり対応していただけますでしょぅか」

金剛市長「責任を持って議会に提案したものについて、なぜ撤回するのかということでございますけれども、私としましては、議会に提案する前の状態に戻してですね、再度、指定管理者の指定につきまして、検討をいたしたいと、上程する前の状況に戻したいということで撤回を提案させていただいたものでございます」

廣澤議員「再考するということですけれども、今後もう一度、選考委員会をひらいて決定していくのか、それとも市長が決めてしまうのか、答弁を求めます」

金剛市長「今後の対応につきましては、本日、撤回をお認めいただいたら、また次の手続き等に、それもふくめて検討してまいりたいと思っております。いずれにいたしましても、駅前の大変重要な施設ということでございますので、撤回ということでお認めいただけたら、あらためまして次の展開に検討してまいりたいと思っております」

廣澤議員「次の手続きというのは、具体的にどういうふうに考えておられるのか答弁を求めます」

金剛市長「次の手続きも含めましてですね、それは再考していきたいということでございます」

廣澤議員「今後、選考委員会というものが必要なのかという話になると思いますので、しっかりとそのへんを答弁いただきたいのと、榛原駅前のまちづくりについて大切な建物、施設、事業でございますので、開館が遅れております。再考されても2月にオープンするのか答弁を願います」

金剛市長「施設につきましては、開設を目指して進めてまいりたいと思っておりますけれども、開設時期につきましてはですね、あらためて検討してまいりたいと思っております」

西岡議員「5名の選定委員さんがおられまして、松塚商工会長、井上観光協会会長、市長はこのお二方にどのように説明をして了解を得られたのか、それと5名の選考委員を、選考委員会に委嘱するのか答弁願います」

金剛市長「選定委員会のほうからは、選定の結果をご報告いただいております。それをふまえて、私のほうで、判断をするということでございますので、あらためて選定委員の方々に了解をいただくというものではございません。あらためて5名の方に選定委員を委嘱するのかは、現時点では未定ということで、ご理解をいただきたいと思います」


市長は、議案を撤回した「本当の理由」を最後まで言わなかった。

前の市長が同じことをしていたら、議員たちは「理解できない」と言って批判していたはずだ。
前の市長は、選定委員会で不合格となったものを、合格とした。
金剛市長は、選定委員会で合格となったものを、不合格とした。
前例踏襲(ぜんれいとうしゅう)として、今後は同じようなことが起きても、認められるかもしれない。