[専決処分]100条委員会、総務部長を「証人尋問」

宇陀市役所
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2019年6月28日、100条委員会「専決処分承認審査特別委員会」は、市長・副市長・総務部長、農林商工部長、農林商工部次長、産業企画課課長の6名を「証人尋問」した。

総務部長の証人尋問(要旨)は以下のとおり。

委員
2019年4月3日(水)、専決処分が決まった日について。

総務部長
市長室に呼ばれたのは、16時30分でした。
協議のうえ、決裁して、専決処分が決まった時間は18時45分でした。

委員
記録はとっていたか?

総務部長
詳細に記録をとっていました。
午前中から担当部長が市長室に呼ばれていたことは、うわさで聞いていました。
どんな会議をしているのかは知りませんでした。
重要な会議なのだろうと感じていました。

委員
総務部長が16時30分に市長室に入室して、専決処分だと聞いたのは?

総務部長
市長から、市長室に入室してから、専決処分だと言われました。
指定管理条例は、地方自治法244条にあります。
公募による選定委員会の採点結果は、市長に報告され、市長が判断することとなっています。
一般常識では、採点結果をそのまま判断するべきです。
市長は、市長権限で判断できると思っていました。
「そのとらえ方ではダメですよ」と、市長に申し上げました。

地方自治法179条1項、専決処分できる要件「時間的余裕がない」について、
緊急なら翌日にでも議会は開けます。
市長からは、専決処分を4月3日にする理由は聞かれませんでした。
私は行政マンとして、「時間的余裕がない」とは感じませんでした。
市長は、法令を飛び越えた判断をしていたと思いました。
「時間的余裕がない」は、市長感覚ではなく、客観的に認められるものでなければなりません。
私は、「市長の判断は強引ではないですか?」「今後の市長の政治責任になりますから、止めたほうがいいのではないですか?」と、申し上げました。

政治倫理条例について、
専決処分は、政治倫理条例に抵触すると思います。

倫理条例には、「特定の業者に有利に働いてはいけない」と書かれています。3月29日議事録には、有利に働いていると読み取られても仕方がないような記述があったと思います、感じ方は、市民それぞれだと思います。

2019.4.3 美榛苑の指定管理に関する再審議と経緯について
市長が選定委員会からOKをもらったと言う、通称「一枚紙」

委員
選定委員の同意を得たと報告はあったか?

総務部長
4月3日、市長から「選定委員会からの了解を得た」と聞きました。
「市長の考えで、市長の権限で」と聞きました。
地方自治法147条とか、179条というお言葉は出ていませんでした。

委員
法令の遵守と上司の命令は、どちらが重要視されるか?

総務部長
地方公務員法32条に、法令にしたがい、かつ、上司の命令に忠実にしたがうものであると書かれていますので、どちらかというと、法令のほうが重要視されると思います。

委員
市長は、3月29日に選定委員会の同意を得て、専決処分したと言っている。
3月29日の議事録を読んでどう思ったか?

総務部長
4月3日では、選定委員会から同意は得られていたのか?、「この企業は可能性を秘めている」と選定委員の全員が言っていたのか?、選定委員のサインなど証拠はあるのか?を、市長にお聞きしました。
私は、次の公募をおこなうほうがいいですよと、市長に進言しました。
議会との関係が悪くても、まず議会に報告して、議会に断られてから専決処分しても良いのではないですか?と進言しました。

3月29日の議事録を読むと、長時間・深夜におよぶ協議であったこと、「社長を後ろに待たせておりますよ」という市長発言があったり、選定委員会が正しく判断できる状況だったのかと疑問に思います。

委員
決済印を押さなかったのは?

総務部長
私は、直接の担当部署ではありませんでした。
決裁内容に納得できませんでしたので、決裁印は押しませんでした。

委員
4月3日は、統括代表権・執行権という言葉は聞いたか?

総務部長
4月3日は、市長は、「私の権限で」と言っていました。
地方自治法147条、148条というお言葉は聞いておりません。

委員
市長は、条例ではなく、市統括代表権・執行権で決定したと、さきほどの証人尋問で答えた。
決裁文書の内容と食い違っているが?

総務部長
その通りだと思います。

委員
市長は、3月18日(月)予算委員会で「応募してくれそうな業者が見つかりました」と言った。
翌日の3月19日(火)、市長と総務部長は議長室に行き、「公募したい」と言った。
正副議長は、公募に賛成しましたよね。

総務部長
はい。

委員
3月19日(火)、議長室で、市長は「3月26日(火)の議会予備日に、応募企業を指定管理者として承認する議決をしてください」と言った。
議長は、「それは、順番として、選定委員会による審査に合格してからだ」「3月26日(火)の選定委員会をもっと早く、3月25日(月)におこなっていただけませんか?」「最短で議会を開く用意がある」と、市長に答えていましたよね。

総務部長
はい。
「最短で議会を開く用意がある」については、聞いたかどうかの記憶はありませんが、市長の専決処分は、179条(議会を開催する時間がない)に抵触しているおそれがある、限りなく100%に近いと思います。
決裁印を押した職員については、明白な法令違反かどうか、判断は難しく、厳しい判断がありますので、決済印を押した職員に罪はないと思います。職員からは、事実として、精神的にしんどいと聞いたことがあります。

参考記事
[専決処分]宇陀市長の「計画?」と「情報ろうえい?」