[美榛苑移転]市長「移転待った」で議会紛糾

宇陀市役所
宇陀市役所

高見市長は、平成30年(2018年)6月議会(平成30年第2定例会、6月8日~26日)で、「美榛苑の移転」について「待った」をかけた。

美榛苑(管理者・休暇村サービス(休暇村協会のグループ会社))の移転は、榛原ひのき坂の西側に広がる市有地に、新しく美榛苑と防災公園を建設しようとする計画である。
予算規模は25億円とされている。
宿泊者数の見込みは3万6,500人、宴会利用者数の見込み3万人、レストラン利用者数の見込み3万3,500人、日帰り入浴者数の見込み10万人となっている。

市長は、待ったをかけたものの、移転について中止するとは明言せず、あらゆる可能性を残した。

2018年6月12日の本会議では、菊岡議員が市長に「市長の考えを明確にしてほしい」と質問した。

市長は、宇陀市の危機的な財政状況から見て高額なこと、25億円の予算がさらに増えそうなことが分かったこと、防災公園の建設を見直したいと思っているなど、移転計画に「待った」をかけた理由を述べた。

井谷議員は、「移転計画は、宇陀農園の失敗を繰り返さないように、議会が責任を持ってチェックしてきた。全議員が計画を進めてくださいと言っている。移転計画は、今回の6月議会で決定されないと、平成33年度(2021年度)完成の建設スケジュールに間に合わなくなる。国・奈良県・たくさんの業者がかかわっていることなので、早く決断して欲しい」と市長に訴えた。

市長は、「市民に十分な説明をおこない、市民の理解を得る必要がある」と述べた。
市長と市議会の意見が対立し、審議が一時中断する場面もあった。
結局、この日(2018年6月12日)は、結論は出なかった。

予算規模は25億円とされているが、国や奈良県の補助があり、宇陀市の負担額は8億円とされている。
毎年4,000万円ずつ、20年かけて負担するらしい。

ちなみに、現在の美榛苑の宿泊稼働率は、59%。一泊5,962円~12,962円。
現在の宿泊者の人数は、「宇陀市内にある主な9施設」で、2万4,000人~2万5,000人。
主な9施設とは、美榛苑、今阪屋旅館、椿寿荘、らぴゅた宇陀、民宿むろう、橋本屋旅館、農家民宿B&Bにしみね、ささゆり庵、中村屋旅館である。

以後に、中村屋旅館は宿泊を廃業して飲食部門のみ営業、ゲストハウス「奈の音」(H29秋オープン)、鎌倉山農園 B&B(H29秋オープン)が開店し、現在の宇陀市内における主な宿泊施設は10施設。

美榛苑の移転について、高見市長は、どうしたらよいのか、今とても悩んでいるところである。
(政治部)