[市議会]宇陀市長の「不信任案」、全文公開

2020年3月24日、宇陀市議会で、宇陀市長に対する「不信任案」が、可決された。
動議の全文は、以下のとおり。

市役所職員の自殺についても、ようやく語られた。
(記者が、青字に変更した)

髙見宇陀市長の不信任を求める動議 2020.3.24
髙見宇陀市長の不信任を求める動議 2020.3.24

髙見宇陀市長の不信任を求める動議

本議会は、宇陀市長髙見省次君を信任しない。
以上決議する。

令和2年3月24日

宇陀市議会

理由
日本国憲法では、地域のことはその地域の地方公共団体、市が行っていくという「地方自治」が認められています。この地方公共団体である私達の宇陀市では、 市民の皆さんが安心して快適に暮らしていけるよう、日常生活に深くかかわる 様々な仕事として、福祉、教育、道路、上下水道などの事業を行っています。

地方公共団体には、その意思や基本的な方針を決める議決機関としての市議会と、その決定に基づいて実際に仕事を行う執行機関としての市長や教育委員会等があり、市民は選挙によって直接、市長と私達市議会議員を選びます。

市長は、市政の方針や重要な事項を議案として市議会に提案し、市議会は提案された議案について審議し決定します。その決定にしたがって、市長や教育委員会等は実際に市政を執行します。また、市議会は執行機関の市が、適正に仕事を行っているか監視しています。

このように、市議会と市長はお互いにけん制し、調和を図りながら、よりよい宇陀市の実現に努めていかねばなりません。

私達の議会は、住民を代表する公正・公平の議員をもって構成される地方公共団体、宇陀市の意思決定機関であります。

日本国憲法の第8章には、地方自治が設けられております。第93条で地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置すると定め、地方議会の設置根拠が憲法で保障されています。

議会は、議事機関として、条例の制定や改廃にとどまらず、広く行財政全般に亘って具体的な事務の処理についても、意思決定機関としての権能を持つからであります。

このことが明らかなように、地方公共団体の長は議会の議決を経た上で事務を執行することとされ、独断専行を許されない建前がとられております。それは同時に、議会の地位の重要性を示すものであり、議会がいかに住民の福祉を考え、住民の立場に立って判断しなければならないかを我々に教えております。

我が国の地方自治制度においては、議会は意思決定機関として、長は執行機関として、それぞれの権限と責任を分担し、住民に対して直接責任を負う二元的代表民主制がとられており、両者は対等の関係にあります。 議会は、多数の議員で構成され、住民に最も身近で住民の声を肌で感じる存在として、まさに住民を代表する機関であります

このことこそが議会の役割の中で最も重要な点であります。言うまでもなく、宇陀市は住民の福祉の増進を目的とする公共団体であり、特定の者の利益を追求するためのものではありません。

さて、髙見宇陀市長は、平成30年4月26日に市長に就任され、現在まで1年11ヶ月の期間、宇陀市政の決裁権者として宇陀市行政を進められてきました。就任間もない平成30年6月議会では、宿泊事業者誘致事業及び公園整備事業において突然の見直しを、さらに事業中止を関係者や議会に諮ることなく報道関係者に公表されました。議会はこの横暴ともとれる突然の事業中止を受け混乱いたしました。約4か月にわたる議論も平行線をたどり、最終的に住民投票にまで発展しました。結果、僅差で事業中止の得票数が上回り、事業者との間で交わされていた協定書が破棄されました。

これにより奈良県と宇陀市が取り交わしていた包括連携協定の榛原駅周辺の整備計画も事実上白紙の状態になってしまいました。さらにはこの包括連携協定による榛原駅周辺整備の対応について、議員より一般質問をされた際に事実とは違った答弁をされ、それを聞かれた奈良県の担当局より事実確認の説明を求められ、事実とは違う答弁を行ったことに対して指摘を受け訂正を求められました。

市長自身の発言が間違いであったことを認めざるを得ず、議場において謝罪を行ったのはまだ記憶に新しいことであります。

この行為を首長としてあるまじき行為であると事態を重く受け止めた多田議員から、令和元年9月議会において髙見市長に対して辞職勧告決議案が提出され賛成多数で可決されました。しかし髙見市長はこの辞職勧告決議案に対しても、まるで検討されることもなく即刻、その場において辞職される意思はないという発言をされました。

時を同じくして同年の、平成30年8月には菟田野こども園新設工事に対しまして突然の事業変更、見直しを提案されたことにより計画が空転し、当初の計画ではきれいな桜が咲き誇る中で入園式が行われる令和2年4月開園予定であったのが、約半年もの開園遅れを招いてしまいました。

議員による一般質問においても当時の髙見市長の突然の方針転換である、現地での保育園建替え案を保護者に説明されたかの問いに対して、髙見市長は「説明を行った」と答弁をされましたが、説明内容を担当部長に確認したところ、説明会すら開催していないという正反対の答えが返ってくるなど、この件においても担当部や関係者との情報共有が現時点においても出来ていないと判断をせざるを得ない状況であります。

さらに同年10月には宇陀市立病院での電子カルテ導入において、契約業者の人的ミスによりウィルス感染を起こし、これが原因で患者データが参照できなくなり診療内容の確認と診療請求ができなくなるという耳を疑いたくなるような信じがたい事件が起こってしまいました。後に宇陀市職員のイチかバチかの処理により奇跡的に患者様のデータは復旧されたことも申し添えておきます。

市当局からは「宇陀市としては契約書に基づいて検収前の事件であるので電子カルテの使用が正常にできること。さらには使用に対して安全宣言が出されるまで契約業者に対して、一切の支払いを行うことはございません。」という報告を受けていました。しかしこの報告を受けてから約3ヶ月後に髙見市長の突然の方針転換により契約業者と、あえて再契約を取り交わし契約金額の80%に当たる 約3億2千万円もの支払いを行う。という報告がございました。これについて議会としても不可解な再契約であり、到底理解のできる内容ではありませんでしたので支払いをするべきではないと断固反対を致しましたが時すでに遅しで。髙見市長の判断により、すでに業者との再契約は締結されてしまっており、支払いは行われてしまいました。

この支払が行われた3月29日は、この後でも説明をさせていただきますが、美榛苑の指定管理業者を決めるために髙見市長が自身の知人とともに、選定委員を深夜に及ぶまで説得をされていた日でもあります。この日の髙見市長の行動を考えてみますと美榛苑の指定管理者選定に没頭しており、宇陀市の財政に大きな負担を起こすと予測されたはずの、この電子カルテの支払いに関しては髙見市長自身、気に留められることすらなかったのではないかと思われます。

さらに3億2千万円を支払う大きな理由として、このウィルス感染を起こした契約業者と今後も良好な関係である必要があると考えるので支払いを判断したと、されていましたが、今定例会において今後の保守契約を締結する際、電子カルテウィルス感染を起こした当事者であるこの業者一社に任せるのは安心できないとの判断から、宇陀市立病院で使用している機器メーカーとも高額な保守契約料を支払い別途保守契約を結ぶことを決定する、と報告がありました。では昨年3月に3億2千万円もの支払いを行った理由はなんであったのでしょうか。

先日の議員の一般質問の問いに対する担当者の答弁でもあったように、当初の契約業者も一社での保守はできない。さらに別途、高額な保守金額を支払ってまで保守契約を締結した機器メーカーも、メーカーとして通常の機械の保守しかできないといわれております。

今回発生したウィルス感染と同じ事案が起こったとしたら、どちらの業者が責任を持って対応してくれるのでしょうか?不安要素が多くあります。

先の福祉文教常任委員会でも議員の質疑に明確な答弁ができないような状況での安全宣言を出され、今月末には先に述べたような不安要素が多く残されたままの状況であるにもかかわらず、契約業者に残金1億1千万円を支払うという判断、手続きを行われております。

この電子カルテウィルス感染にかかる事案について、感染が発覚してから昨年の3月29日に3億2千万円が契約業者に支払いがおこなわれるまでの期間、議会に対して納得のいく説明が一度もされておらず議事録を確認すれば明らかであるように説明内容が二転三転し、議員の質疑に対しても明確な答弁は一切されてこなかったと考えられます。

その後、平成31年4月から担当者を突然変更され全責任を一担当者に押し付け、議会や市民が納得するような報告書を作成するよう命じられたと聞いております。

担当者は仕事に忠実かつ熱心な方で、たびたび議会に説明・報告を求めてこられました。前田副市長、病院事務局長、次長と議会との建設的な議論の中で、やはり今後の保守契約業者を二社にすることに対してのメリットは見いだすことはできないという判断に至りました。
前田副市長は「今後の保守契約に関して市長に説明をしてまいりますので預からせてほしい」と発言をされました。

担当当局とともに髙見市長に今後の保守契約に対して、議会との議論を踏まえて判断を改めるよう求められたと伺っております。

副市長や担当当局の説明により2社との保守契約を改める方向に傾いておられた髙見市長でありましたが、最後に判断に至った理由が「やはり議長、副議長の提案を聞くことはできない。」ということであったと、後に担当当局から報告を受けました。
この判断を目の当たりにした担当者は、どのように対応すればよいのか分からなくなってしまったのではないかと思います。

髙見市長からは、何としても保守契約を2社とする内容の報告書を作成し、議会と住民に指摘されないように作成するように命じられ、時には休日の夜であるにもかかわらず庁舎に呼び出され、報告書について指示をされたこともあったようです。

市長の判断を聞くしかなかった副市長からは、報告書作成について激しい口調で命令を受け、担当役職からは「1週間は7日ある、1日は24時間ある」といった内容の話をされ、寝ないでも報告書を作成しなければならないと思えるような命令を受け、引継ぎなどもほとんどなかったようで、これまでの情報がもらえなかったということなどを親しい友人に漏らしておられたようであります。
その後、この担当者は定年まであと一年という時期でありながら、最愛のご家族を残して自らこの世を後にされました。本当に悔しかったでしょう。本当に苦しかったでしょう。

この件につきましては、総務部長を中心に現在、調査中の事案でありますのでこれ以上は控えますが、髙見市長はご自身の部下がこのような状況に陥っていたことを感じておられましたでしょうか。またこの事態をどのようにお考えであったのでしょうか。

また昨年4月に再開した保養センター美榛苑の指定管理の手続きは、公に施設を業者に委託管理させる地方自治法244条の2や179条の乱用ともいえる専決処分により決定されました。

この専決処分についても100条委員会を設置し、調査した内容を弁護士に判断していただいたところ、やはりこの案件に関する専決処分や一連の市長の判断や運営は、違法に当たる点があると報告をさせていただいたところであります。

この件に関しましても、今定例会の議員の一般質問において100条委員会では統括代表権、執行権を活用と答弁されていましたが髙見市長自身の勘違いであったと、答弁されるなど市長として信じがたい答弁、行政運営、判断がなされたことは明らかであります。今更ではありますが長として勘違いや思い違いで行政判断をされたことについてこの時に、なぜ自ら責任をおとりになられなかったのか理解できません。

保養センター美榛苑の運営にあたりましても、住民サービスの低下は絶対にあってはならないと発言をされていましたが高齢化率の高い宇陀市であるにもかかわらず60歳以上の日帰り入浴料の値上げを黙認されるなど、髙見市長は一体どこに重きを置いた行政運営、判断をされているのか理解に苦しみます。このことについても前田副市長は、値上げについては時期的に住民から受け入れられないのではないか、なぜこの時期に値上げをするのかと髙見市長に判断を改めるよう促したようであるが、全く聞く耳をお持ちでなかったと聞いております。他にも数え上げればきりがないほど失政、失策と判断せざるを得ない運営があったことは否めない事実であります。

髙見市長はご就任以来、大きな問題が起こった時に一度も本気で「私の責任である」と発言されたことはございませんでした。担当者や議会など自身以外に責任があると言い続けてこられました。長としての判断をされてこられなかったのであればそうなのかもしれません。長としての責任を求められること自体が髙見市長にとっては理解できないのかもしれません。しかし本当に長としてそれでよろしいのでしょうか。失敗を認めないこと、失敗を部下や他の者の責任にするということが長として正しいことなのでしょうか。

企業において部下が取引先に失敗や間違いを起こしたときに社長は「私が悪いのではない。私が失敗したのではない。部下が悪いのです。部下が失敗をしたのです。」という社長が正しいのでしょうか。それでこの会社はうまくいくのでしょうか。

家庭において子供が間違ったことをしたときに保護者は「私は悪くないのです。子供が悪いのです」という保護者が、自分の子どもを正しく優しい人間に育てられるのでしょうか。

私は違うと思います。部下の失敗は長に大きな責任があると思います。長となる人間は部下に対して、すべての責任を負う覚悟が必要であると思います。そのために日頃から人間関係を築き適材適所をしっかりと見極め判断しなければならないのだと思います。責任を取る覚悟ができている長であれば部下は、その長のために頑張れるのです。長の思いに少しでも報いようと努力をするのです。

子どもが判断を間違い、過ちを起こしてしまったときに親は、(保護者は)責任を取らなければならないのです。だから親は(保護者は)間違った判断をさせないために子供に愛情をもって一生懸命育てるのです。育てる義務があるのだと思います。しっかりと教育しなければならないのだと私は思います。そうして育てられた子供は親を(保護者を)尊敬し、優しい人間に成長するのだと思います。
髙見市長はご自身に部下として仕えてこられた職員に対して、優しい気持ちをもって接してこられたでしょうか。

ご就任以来、宇陀市において度重なる問題が起こってまいりました。

これらの責任はだれにあるのでしょうか。議会でしょうか。職員でしょうか。または国や県なのでしょうか。市長であるあなたには一切の責任はなかったのでしょうか。今となってはこのお答えをお聞かせいただく必要もなくなってしまいましたが。

髙見市長が、ご就任されてから1年11ヶ月、議会やほとんどの職員、国、県、多くの近隣市町村や各種団体などとの信頼関係は崩壊し、現状の行政運営や判断では宇陀市はますます停滞、衰退、混乱を招き、市の将来に禍根を残すと思われます。

市民の皆様に、このまま悔いの残る一時代を過ごさせる訳にはいきません。髙見市長におかれましては賢明なご判断をいただき即刻退陣されることが、宇陀市にとって、宇陀市民にとって最良の選択であることを申し上げ、市長不信任決議に対する提案理由の説明といたします。

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